PERFECTのプロテストに合格したとき、正直なところ「達成感」はありました。
これまで積み重ねてきた練習が一つの形になった、努力が間違っていなかったと証明された、そういう安心感もありました。
でも同時に、心の中にははっきりとした感覚がありました。
「これはゴールではないな」
むしろ、ようやくスタートラインに立っただけだという感覚です。
プロテスト合格は、競技ダーツにおいて非常に分かりやすい“区切り”ではあります。
肩書きが変わり、立場が変わり、名乗れる名前が変わる。
でも、それは実力の完成を意味するものではありません。
むしろ、ここからが本当の意味で「競技者として見られる立場」になる瞬間だと感じています。
多くの人は、プロテストを「目標」に設定します。
それ自体は間違いではありません。
明確な目標があるからこそ、日々の練習に意味が生まれ、継続が可能になります。
ただ、その目標を「最終地点」だと思ってしまうと、少し危険だとも思っています。
プロテストに合格した瞬間、
「やり切った」
「ここまで来た」
という気持ちが強くなりやすい。
でも競技ダーツの世界は、
プロになった瞬間から難易度が一段上がります。
・対戦相手のレベルが上がる
・結果を求められる
・言い訳が通用しなくなる
・“たまたま”では済まされなくなる
プロテスト合格は、
「競技の入口に入る許可証」
のようなものだと思っています。
もう一つ、スタートだと感じる理由は、
「責任が発生するから」です。
アマチュアのときは、
自分の結果は自分だけのものでした。
負けても自分の問題、
勝っても自己満足で終わる。
でもプロと名乗った瞬間から、
少しずつ立場が変わります。
・見られる存在になる
・発言に重みが出る
・行動が評価対象になる
極端に言えば、
自分のプレーは“競技ダーツの印象”の一部になります。
だからこそ、
プロになった時点で完成しているはずがない。
むしろ、
「ここからは適当な姿勢ではいられない」
という覚悟を持つべき場所がプロテスト合格だと思っています。
また、プロテストがゴールだと思われやすい理由の一つに、
「分かりやすい称号」
があると思います。
“プロ”という言葉はとても強い。
それまでと世界が変わったような気がするし、
周囲からの見方も変わる。
でも、競技そのものは何も変わりません。
・的の大きさは変わらない
・距離も変わらない
・ルールも変わらない
変わるのは、
自分を見る目と、周囲からの目線だけです。
だからこそ、
プロテストは「実力の証明」ではあっても、
「完成の証明」ではない。
むしろ、
ここからが“実力を示し続けなければいけない立場”になります。
自分がプロテストをスタートだと思う一番大きな理由は、
「競技者としての時間は、ここからが長い」
と感じているからです。
プロになるまでの期間は、
ある意味で“準備期間”です。
技術を作り、
練習習慣を作り、
競技に向き合う姿勢を作る。
でも、
その準備を使って勝負するのは、
これからです。
大会で結果を残せるのか。
継続して練習できるのか。
壁にぶつかったときに踏みとどまれるのか。
そういった「競技者としての本質」は、
プロテスト合格後にこそ問われます。
もう一つ正直な話をすると、
プロテストに合格しても、自信が完成するわけではありません。
むしろ不安の方が増えます。
・本当に通用するのか
・たまたまではなかったのか
・この肩書きに見合っているのか
こうした不安と向き合いながら、
それでも投げ続ける。
それこそが「競技者」だと思っています。
だからプロテストは、
自信を証明する場所ではなく、
覚悟を持つ場所だと思っています。
さらに言えば、
プロテストをゴールにしてしまうと、
競技そのものが軽くなってしまう危険があります。
「プロになれたからOK」
「一度達成したから満足」
そう思った瞬間から、
成長は止まります。
でも競技ダーツは、
止まった人から確実に置いていかれる世界です。
年齢も、環境も、忙しさも、
言い訳にはなりません。
投げ続けた人だけが残る。
だからこそ、
プロテストをスタートにしないと、
競技者としての寿命はとても短くなると思っています。
私は、プロテストを
「肩書きを得る場所」
ではなく、
「覚悟を引き受ける場所」
だと考えています。
・中途半端な姿勢を捨てる
・逃げ道を減らす
・自分に厳しくなる
その覚悟を自分自身に突きつけるための通過点。
だから、合格した瞬間に終わりではなく、
合格した瞬間に、
ようやく競技者としての本番が始まる。
「プロテストはゴールじゃなくスタートだ」と言うと、
少し綺麗事に聞こえるかもしれません。
でも実際は、とても現実的な話です。
ゴールだと思えば楽になります。
スタートだと思えば苦しくなります。
練習を続けなければならない。
結果と向き合わなければならない。
自分の未熟さを何度も突きつけられる。
それでも、
スタートだと受け止めた方が、
競技ダーツはずっと面白くなると思っています。
プロテストは、
競技ダーツの“入口”に立つための試験です。
中に入ったあと、
何を見るのか、
どこまで進むのか、
どんな姿勢で投げ続けるのか。
それはすべて、
合格後の自分に委ねられます。
だから私は、
プロテストをゴールとは呼びません。
「ここからが本番だ」と、
自分に言い聞かせるための
スタートラインだと思っています。
肩書きを得るための試験ではなく、
競技者として生きる覚悟を持つための試験。
それが、
私がプロテストを
“ゴールではなくスタート”
だと思っている理由です。

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